【資金配分の考え方|任意売却マニュアル】

全債権者を説得する最大の難所

任意売却では、売上の代金は債権者をはじめとする関係者にどのように配分されるのか?

 

概要をまとめました。

 

配分の基本的な考え方

任意売却の配分方法は、住宅金融支援機構の基準が、事実上の標準になっています。

 

任意売却の費用控除基準

控除可能費目

控除上限額

解説

後順位抵当権者に対する抵当権抹消承諾料
  • 第2順位: 30万円または残元金の1割のいずれか低い方
  • 第3順位: 20万円または残元金の1割のいずれか低い方
  • 第4順位以下: 10万円または残元金の1割のいずれか低い方

競売では、順位の高い方から優先的に全額配分される。
そのため、第二順位以下は配当0のことも多い。
任意売却なら第二順位以下もわずか数十万ではあるが、もらえる。
それを対価として抵当権解除に応じてもらう。
まさに事務手数料レベルであり、業界では「ハンコ代」と呼ばれている。

仲介手数料 宅建業法に規定された手数料全額 普通の不動産売却と全く同じ
破産財団組入額 原則として売却価格の3%

売主が任意売却前に破産申し立てしている場合。
破産しない場合、任意売却後に破産する場合は関係なし。

登記費用 司法書士報酬と登録免許税全額 抵当権抹消登記の費用
租税公課
  • 差し押さえ登記のある債権は、10万円または固定資産税1年分のいずれか低い額
  • 優先税は全額

税金も差し押さえたところで全額回収できないということ。
第二順位以下の債権者と同様、「ハンコ代」で納得してもらう。
しかし、強硬に交渉してくる自治体もある。

マンション管理費滞納分 決済日前日までの全額(ただし、延滞金は含まず。また、最長過去5年分) 全額控除対象になるということは、逆に言うと管理費の滞納は任意売却の足かせにはならないということ。
転居費用 捻出できない事情がある場合は相談可 原則不可だが、20〜30万円認めてもらえることが多い。
売買契約書の印紙代 不可  

住宅金融支援機構の資料をもとに加筆編集

 

事例

ある不動産コンサルタントの著書に出ていた金額の配分例を掲載します。

 

実際の感じがよくわかると思います。

 

配分先

債務

配分額

残債

1番抵当権者

1,800万円

1,800万円

0円(完済)

2番抵当権者

1,100万円

181万4000円

918万6000円

3番抵当権者(ハンコ代)

300万円

30万円

270万円

K市租税公課(ハンコ代)

120万円

30万円

90万円

管理費滞納分

0

50万円

0

仲介手数料

0

75万6000円

0

登記抹消費用

0

3万円

0

引っ越し費用

0

30万円

0

合計

3,320万円

(うち住宅ローンは3,200万円)

2,200万円

1,278万6,000円

 

残っている債務3,320万円に対し、任意売却で作れたお金は2,200万円で大きく下回っています。

 

しかし、それでも債権者全員にとって競売よりはましな配分案を作ることで、抵当権抹消に応じてもらうわけです。

 

さらに債務者以外の関係者にとっても、いい結果になっているのがわかります。