【任意売却の流れ|任意売却マニュアル】

早めに相談すれば、普通に売却可能とわかることも

このページでは、任意売却の具体的な手順を説明します。

 

任意売却のタイミング

任意売却が可能なのは、代位弁済が行われて債権者が変わった後から競売の開札日直前までです。

 

「競売開始決定の通知」の後、さらには「入札の通知」の後でも法的には間に合います。

 

ただ、遅くなるほど債権者との交渉などの業務が物理的に間に合わない危険が高まるので、早めに相談すべきです。

 

一方、まだ滞納していない時点や、滞納初期で代位弁済に至っていない時点では、任意売却はできません。

 

しかし、その段階でも任意売却の経験のある不動産業者に相談は可能です。

 

「ローンを払い続けられない。家を売るしかなさそうだ。」と思った時点で相談してみましょう。

 

完済が不能と自分で思い込んでいるだけで、相談してみたら可能だったということはよくあります。

 

そうなれば、任意売却ではなく、普通の売却で問題解決できます。

 

不動産業者が、普通に売却できる物件を無理やり任意売却にする心配はありません。

 

任意売却より普通の売却の方が手間がはるかに少なく、利益率も高いからです。

任意売却の手順

STEP 1 現状の整理

不動産業者の事務所での面談や自宅訪問などで、相手はまず現状を整理します。

 

ポイントは下記のとおり。

 

  • ローンが返せなくなった事情
  • 債務の状況(住宅ローンの滞納、税金の滞納、他のローンの有無)
  • 今の家に住み続けたいか?
  • 家の現状

 

今の家に住み続けたい希望が強い場合は、親戚・知人に買い取ってもらうなどの方法も提案してくれます。

 

しかし逆に、離婚などで家を去りたいのにローンに縛られてそうできないという方も多いようです。

 

STEP 2 不動産売買の仲介代理契約

任意売却をまかせると決めたら、その業者と仲介代理契約を結びます。

 

普通の売却の場合、契約形態は3種類から選べますが、任意売却の場合は専属専任媒介契約です。

 

これは、他の業者に頼んだり、売主自ら買主を見つけたりできない契約です。

 

債権者は交渉窓口の一本化を望むので、これは必須です。

 

ただ、普通の売却でも本気で売ってもらうために専属専任媒介契約を選択することは多く、これはそんなに特別なことではありません。

 

STEP 3 不動産査定

家の現物をさらに詳しくみて、売値を決めます。

 

この売値の決め方は、普通の売却の場合と大きな違いがあります。

 

まず、市場の相場より安め、競売の予想落札価格(普通は相場の7割くらい)より高めの値段にします。

 

開札日より前に売れなかったら競売にかかってしまい、努力は水の泡です。

 

回収のためには少しでも高い値段の方がいいが、早く売れる確実性の方が優先なのです。

 

とはいえ、競売よりは高くないと債権者にとって意味がありません。

 

もう一つ、大きく違うのが債権者の同意を得ないといけない点です。

 

普通の売却だったら売主が納得した値段で売りに出し、どうしても売れなければ値下げも簡単です。

 

しかし、任意売却の売値は債権者全員を説得して同意を得る必要があるので、一度決めたらそんなに簡単に変えられないのです。

 

任意売却の売値は「これで債権者を説得でき、かつ競売までに確実に売れる」と確信できる価格を見極めて、一本勝負するのです。

 

ちなみに売値は残債の金額とは無関係です。

 

2000万円の残債があっても、確実に売れる値段が800万円なら売値は800万円です。

 

STEP 4 債権者との配分交渉

物件の売却には抵当権を外してもらうことが必要であり、抵当権を持つ全債権者に納得してもらう必要があります。

 

「どのみち全額回収は無理だし、抵当権を行使して競売で回収するよりは多く回収できるから、売ってもらうか」

 

債権者にそう考えてもらい、売却に協力してもらうのが、任意売却なのです。

 

納得してもらう上で重要なのが、売却した代金をどのように配分するかという問題です。

 

一番抵当が完済できない場合は、一番抵当の債権者が最重要交渉相手です。

 

一番抵当を完済できる場合はその債権者は満足して何も言わないので、二番抵当の債権者が主役です。

 

しかし、時にははるか下位の債権者がやかましく口を出してくることもあります。

 

競売になったら全然配分がないような債権者がこだわってくる理由は何か?

 

それは社内稟議を上げるに当たって、上の者に説明がつくような内容にしてほしいということだったりします。

 

そして税金の差し押さえが入っている場合は、税務署や自治体も配分交渉の相手です。

 

しかも、非常に手ごわい交渉相手です。

 

差し押さえの要因は、所得税などの国税、固定資産税や市民税などの地方税、国民健康保険料などがあります。

 

さて配分の対象には、なんと債務者の売主も入っていて、引越料として平均30万ぐらいが配分されます。

 

不動産業者に配分されるお金も、普通の売却なら売主が負担するものです。

 

こういうところが、任意売却は競売より売主にやさしいのです。

 

STEP 5 不動産の売り出し

普通の売却の時と同様に、広告を打ち、不動産物件情報ネットワーク(レインズ)にも掲載します。

 

競売の場合と違って、広告や情報だけでは任意売却物件とはわかりません。

 

しかし、問い合わせがあった業者や購入希望者にはその旨伝えるルールです。

 

購入希望者が住宅の見学を望んだ時は、売主は協力する必要があります。

 

このあたりは普通の売却と変わりません。

 

STEP 6 不動産売買契約

買主が見つかると、売り手側と買い手側の不動産業者が会って、不動産売買契約を結びます。

 

普通の売却と違うのは、手付金が売主の口座に振り込まれず、どちらかの不動産業者が預かる点です。

 

STEP 7 決済および抵当権の抹消

売買契約の1か月後くらいに、家を買う時にローンを組んだ銀行の一室などに関係者が一堂に会します。

 

買主、売主、双方の不動産業者、すべての債権者、司法書士などです。

 

売買の残金を決済し、抵当権の抹消、所有権の移転などの書類作成をその場で行います。

 

普通の売却だと、残金は売主の口座に振り込まれますが、任意売却の場合は各債権者の口座に配分案通りに振り込まれます。

 

STEP 8 新生活のスタート

売主は新居に引っ越し、再起に向けたスタートを切ります。

 

売主にも引っ越し代が配分されることはすでに述べました。

 

任意売却して残った残債をどうするかについては、別のページで説明します。